「野口五郎岳 2,924m」:2023年8月20日〜23日,参加者 7 名 |
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8月20日: 午前8時に京都駅を出発して,途中,岐阜県多治見から参加の夫妻と合流して松本へ.途中高速のSAで昼食を食べようとするが,夏休みの日曜日の昼時で何処も駐車場は満杯.どうにか13時過ぎに中央道の小黒川PAで昼食にありつく.
安曇野ICで高速を降り,会員が松本市の郊外に所有するクラインガルテン(農園付き別荘)へ向かう.途中今晩の夕食用に各自が弁当や好みの飲み物を大きいスーパーマーケットで調達.15時頃に別荘に到着し,庭の農園で枝豆やトマトを収穫する.別荘の2階にはロフトがあり7〜8名位が寝泊まり出来そうで,ご厚意でJAPの例会に今後使用させていただけるようです.
入浴後に各自がスーパーマーケットで購入した弁当や飲み物で小宴が始まる.農園で取れた枝豆やトマトもテーブルに上がり美味しくいただきました.
明日は4時起床,5時出発の為,小宴も20時前に終わり,早い目に各自寝袋に潜り込む.夜中相当な雨が降ったらしいが,私は全然気付かず朝を迎えました.
今回の山行では日本海の親不知からテント泊で大縦走して11泊目にお会いた強者カップルや40年振りに復活した伊藤新道の開通式典に参加し難路を踏破した大阪の好青年などに会えて楽しい会話が出来,また天候にも恵まれ楽しい例会が行えました. 8月21日: 朝4時に起床,5時に小屋を出発予定だが,3時半位には目を覚まし,昨日買った朝食を食べます.深酒が心配された昭和27年トリオも無事起床.
予定通り,5時に出発,七倉温泉の高瀬ダムへのタクシー乗り場に向かいます.途中,爺ヶ岳や鹿島槍が見える道なのですが,ガスがかかって,残念ながら見えません.5時55分に七倉温泉に到着.ところが昨夜の豪雨で,途中の道路が陥没などを起こしていないか,東電の社員が見に行き,6時半頃に結果がわかるとのこと.そういえば途中の梓川がえらく濁っていました.
道路が大丈夫なことを祈りながら,タクシー待ちの2番目に位置取り,登山届や交代にトイレなど済まして待っていると,「大丈夫」との情報が入り,タクシーで,高瀬ダム登山口に向かいます.
高瀬ダムは高さ176mのロックフィルダムで,それは見事な石積みです.葛折りの道をぐんぐん登り,ダムの堰堤に出ます.水は硫黄分が含まれているためにきれいなエメラルドグリーンです.
6:50に出発,登山口に向かいます.するといきなり真っ暗な電灯のないトンネル,槍見台下のトンネルです.ヘッドランプを取り出す余裕がなく,こわごわ進みます.5分足らずが,閉所・暗所恐怖症の筆者には30分以上に思えました.トンネルを出ると今度はいじめの様に吊り橋です.
不動沢のつり橋と言うそうですが,あまり高さはなく,下には水も流れていないのですが,結構揺れて,高所恐怖症の筆者は真っ青です.しばらく歩くと今度は半分壊れた丸木橋です.ほとんどいじめの世界です.これを渡ると,石灰岩の河原です.その向こうに滝が見えます.濁沢の滝です.少し寄り道をして,轟音が響く迫力ある滝を見物しました.
さあ登山口です.後でわかったというか,理解していなかったのですが,登山口が⑫で,烏帽子小屋が⓪と番号がついた杭の標識が立っています.
7:30出発です.いきなり急な登りです.木立というか,大きなブナの林を進みます.あまり展望は開けないのですが,木々の間から,濁沢の滝付近の岸壁,反対側には高瀬湖がわずかに見えます.大きなブナの木が,ミズナラの木が天に向かって伸びています.本当に急な登りです.足だけでは登れず,手がとても役に立ちます.さすが,アルプス三大急登の一つです.1,200mあまり登ります.実は筆者は韓国の際も慢性疲労で,調子が悪かったのですが,今回は一ヶ月あまり,足の具合が悪く,びっこを引いていたのですが,何とか参加にこぎ着けたのです.登りは良いのですが,下りに足が痛みます.まあ,ほとんど上り坂ばかりなので,今日は何とかなりそうです.
まずは標識2本進み,⑩で最初の休憩です.筆者の畑の取れたてトマトを食べてもらいます.荷物を軽くするためです. さて出発です.権太落とし⑧の標識のすぐ手前で,再度休憩,ここから標識二本ごと休憩します.暑いわけではないのですが,Tシャツから汗がしたたり落ちます.たっぷりと水分をとります.
途中,視覚が良いのか,嗅覚が優れているのか,単なる食いしん坊なのか,麗しい同行者が野生の生いちご,ブルーベリーを見つけました.酸味は強いのですが,疲れた体にとても美味しかったです.
急登が少し楽になったところに三角点があります.2,208.5mです.黄色い標識です.この少し手前に槍見台があったのですが,見落としました.ここで,たっぷりと休憩し,たぬき岩を超え,進んでいきます.
歩いている時間と休憩時間が拮抗してきます.だんだん足が重くなるのですが,まだ300m登らねばなりません.少し傾斜は緩くなったようですが,汗だく,脚重,エネルギー切れで,前に出られませんが,何とかピーク(2,600m弱)を超えたら,青い屋根が見えてきました.今夜の宿泊予定の烏帽子小屋です.12時少し前です. ここで昼食を食べて,一休み.烏帽子岳に向かうことになりました.緩やかな登りを進みます.野口五郎岳に近いからか,このあたりも石がゴロゴロしています.
途中で,猿の集団がいます.少し怖いですが,何もしませんでした.雷鳥は目につきません.ニセ烏帽子で,烏帽子を目指す組と小屋に帰る組に分かれました.もちろん筆者はレポートの責任があるので,烏帽子に向かいます.最後は結構な岩登りで,14時に烏帽子岳2,628mに着きました.
途中で,何度も遭遇した.九大のワンゲルの人達がいて足のすくむ岩場で結構騒いで(楽しんで)いました.お互いに写真を取り合い,烏帽子小屋に戻ります.コマクサが,トウヤクリンドウがきれいに咲いています.
烏帽子小屋の展望は素晴らしいのですが,昼を過ぎるとガスが出て,しかも風の通り道で,立山や赤牛岳はじめ周囲の山々の全貌はよく見えず,翌日の楽しみとなりました. 烏帽子小屋で疲れた体を癒やすのはやはりビールです.美味しいですね.荷物を整理し,一休み,夕食を待ちます.レトルトカレーです.ご飯はたっぷりあります.ルーのおかわりはできません.お酒を愛している男性同行者2名が夕食でビールも飲まないのは体調が悪いのか,自粛しているのか,全くの謎です.19:30には布団に入り,疲れた体を回復するための熟睡です.
昼からは少しガスが出ましたが,景色を堪能できた良い山行でした. 8月22日: 烏帽子小屋で朝食のおにぎりを食べ,小屋近くの展望台に集合.天気にも恵まれ,今日の稜線歩きは楽しくなりそうです.
6時過ぎ烏帽子小屋をあとに野口五郎小屋を目指します.キャンプ場を抜けて三ッ岳に続く稜線を登ります.砂礫地帯を歩いていると,所々にコマクサが咲いています.
三ッ岳を巻いて少し行くと,稜線コースとお花畑コースの分岐があり,我々は楽ちんなお花畑コースを選択しました.このコースには青い岩桔梗,立山リンドウ,白いトウヤクリンドウ,綿毛になったチングルマ,黄色いウサギ菊など多くの花々が咲いていました.
野口五郎岳が見えてくると東に燕岳,南に槍,穂高連峰,西に鷲羽岳,水晶岳,赤牛岳と多くのカール,北に立山,剣岳の絶景が待っていました.足元を見ると,そこもカールの上でした.
野口五郎岳に近づけば,その名の由来となったゴロゴロと大きな岩塊が堆積する地帯があり,そこを抜けたら野口五郎小屋です.
小屋に荷物を置いて20分程で野口五郎岳山頂に到着しました.
次に真砂岳をめざしましたが,巻き道があるだけで山頂には行けません.踏み跡はありましたが,危険なので登頂は断念し小屋に戻ることにしました.12時半頃小屋に戻り小屋のスタッフに確認すると,真砂岳直下に裏銀座縦走コースがあり,もし落石を起こしたら重大な事故につながるので,登らない方が良いとの事でした.
午後からガスが出てきて何も見えなくなり,各自ビールを飲んだり昼寝をしたりして夕食までの時間を過ごしました.夕食は烏帽子小屋と同じく,カレーライスと味噌汁でした.後は寝るだけです.疲れていたのでよく寝る事ができました. 8月23日: ひと晩中強い風が吹いて明日の天気は大丈夫だろうかと心配しながら迎えた朝.4時前からおにぎりとお味噌汁の朝食を頂き,あと少しで日の出という美しい山端を背景に,後ろ姿の集合写真を撮ってもらう.
5:05 鐘を鳴らしていざ出発.今日の行程は,野口五郎小屋から烏帽子小屋を経て下山.車を止めてある七倉山荘へと戻る.
快晴の中,体調を見ながらゆっくりと歩を進め,7〜8分で日の出となる.空も雲海も美しく最高の日の出.360°どこを見ても感動する素晴らしい眺め.来られて良かったなあとしみじみ思う.
6時少し前に槍ヶ岳が見える所へ来た.昨日もあんなに眺めて喜んだのに,やっぱり槍は魅力的で,つい何枚も写真を撮る.
何度も小休止をとって,美しい山々を堪能しつつ,そして疲れた脚をいたわりつつ,昨日来た道をたどる.可憐なコマクサやトウヤクリンドウが疲れを癒やしてくれる.休むたびに頂くおにぎりは何個目なんだろう.初日にスーパーで買った2個を合わせると2×5で合計10個.おにぎりの偉大さを充分に感じながらも,下に下りたら何食べようかなあと思っちゃう.
最高の天気に恵まれ下にダム湖もきれいに見える.
7:45 烏帽子小屋に到着.しっかり休んで8:03出発.雨具を使わなくて良いように登山口の⑫番までもうひと頑張りするぞー.
すぐに真っ白な霧に包まれて何も見えなくなる.私たちは初日から今日までここぞという時に,霧が晴れて思う充分に山の美しさを満喫できたなあと感謝.
まずは④番地点で休憩.次は⑧番なーと後ろから声がかかっていたが,⑦番,⑨番,⑪番と段々と間隔が短くなるのはやむを得ない.みんなしんどい.頑張って私の脚!!
途中 オレンジ色の布を体にまとい,素足で登ってくる仙人か修験者のような男性とすれ違う.そんなことあり得る?と,あ然.上の方ではトレランのカップルもいたしなあ.若さは無謀でもあるけれどやはり眩しいなあ.
ひざがやばくなった同行者の荷物を皆で少しずつ分けあって,さらに丁寧に下る.
11:24 ⑫番登山口に到着.バンザーイ!! 高瀬ダム堤からタクシーで七倉温泉の駐車場まで戻り待望の入浴.生き返るー!露天風呂に浸かった途端,ポツリポツリと雨が降り出し,あっという間にザーザー降り.山で会ったたくさんの人達は降られていないかなあ.私たちは本当に運が良かった.
お風呂上がりにはソフトクリームやコーラそしておいしいざるそばを頂いて帰途に着く.
ああ楽しんどかったなあ,と完全にリラックスモード.しかし,リーダーにはまだまだ何時間もの運転があります.何から何までお世話になりました.素敵な山行でした.同行の皆様に感謝です.
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