世界自然遺産 奄美大島の自然を訪ねて:2022年12月15日〜18日,参加者 17 名 |
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12月15日 1日目: 12月15日午前8時半に大阪伊丹空港集合。全員が時間前に集まり午前9時半発の奄美大島行き日本航空に搭乗する。今回は大勢の17人の参加で団体旅行扱いでの例会を実施することになる。事前の天気予報では明日から芳しくなく、予定通り実施出来るか心配をしながらの出発になる。
11時25分、曇りの奄美大島空港へ到着するが本土の寒波のせいか肌寒く感じられた。空港の近くでレンタカーを4台借りて、分乗して島内観光へ出発。先ずは昼食であるが予約の手違いで、別の所で昼食を食べる事になる。空港から30分位走り島でも有名な「鶏飯」の名店で昼食を頂く。鶏飯は鶏肉、錦卵、椎茸などの具をご飯の上に乗せ、鶏の澄んだ暖かいスープをかけ頂く奄美大島の名物料理である。奄美大島ではお客をもてなす昔からのご馳走であり大変美味しく頂いた。しかしこれから鶏飯攻めの食事が始まる。
昼食後島北部のあやまる岬に向かう。晴れていれば太平洋が一望できる奄美十景の一つの景勝地であるが曇りで期待したコバルトブルーの海は望めなかった。 その後少し南下して干潮時に潮だまりで見られるハート型のハートロックを見に行く。アダン(タコの木)やクワズイモの茂る道を抜け海岸に出る。少し砂浜を歩きハートロックに到着。干潮が十分でなかったのか観光案内本で見るようなはっきりしたハート型は確認出来なかった。砂浜で貝殻を探すと宝貝の美しい貝殻が見つかった。
そして奄美大島と言えば「大島紬」でその大島紬の製造工程を見学する。亜熱帯植物に囲まれた工場で製造工程の説明を受けながら見学。緻密な柄の大島紬は、気が遠くなりそうな複雑な工程を経て生み出される奄美の伝統織物で宝であった。
夕方4時位になり今晩泊まる奄美大島随一の都市「名瀬」へ向かう。名瀬港脇の奄美ポートタワーホテルへ5時前に到着。6時半から始まった夕食に2回目の鶏飯が閉めで登場!!そして次の日の昼食、夕食にも奄美のもてなし料理「鶏飯」がこれでもかと登場しました。
追伸:鶏飯が懐かしく食べたい方は「鳥せい 伏見本店」で食べられます。 12月16日 2日目 午前: 午前中、名瀬の山中にある奄美の原生林、金作原(きんさくばる)を散策する。
7:40 小雨の中、宿を出発、アイランドサービスのガイド森さんと城(きずき)さんと合流しマイクロバス2台に分乗し金作原にむかう。標高330mの原生林に向かう途中には果樹園が広がっている。9時すぎ原生林のゲートを通り、ここから800mがシダ植物類の群生など亜熱帯の森を間近に感じられるスポットである。
ここから2グループに分かれて樹々、草花、鳥の鳴き声などを見聞きし、次々と説明がなされるがあまり強い印象に残っていない。樹々ではヒカゲヘゴくらいか?大空に広がるパラシュートのような幾何学模様の葉は南国情緒を十分に味わわせてくれる。これが地を張っているシダの仲間であり胞子で広がっているとは驚きである。 草花について印象に残ったものは、ランの種類が多く、国内の200超くらいの内70種類が奄美の固有種とのことである。花の時期が少し遅かったようだ。自生ランでカトレヤや胡蝶蘭の鑑賞用のような華やかさはないものの、盗掘の対象になるのだろう。
木々が生い茂る自然環境で常に鳥が鳴き、ガイドさんが名前を教えてくれるのだが右から左に抜けてゆく。800mのドン付きで少し階段を降りたところで大きな木、オキナワウラジロガシというこれまた大きな板根をもった22mの高いブナ科の木を見て原生林散策ツアーは終了した。 原生林散策と言うのでもっと欝蒼としたジャングルの中を歩くのを想像していた、実際は広い林道で明るい散策道だった。これには理由があるそうで先に書いたヒカゲヘゴが光を求めてあれほど大きくなるためにはこの道幅の光の当たるスペースが必要だったそうです。だから自然林の中では少ないらしいです。とYouTubeで説明していました。念の為、サイト記しておきます。樹々、草花、鳥の詳細もこちらで!!
「金作原 散歩」で検索、「金作原原生林で鳥のさえずりに癒され・・・」を開く 12月16日 2日目 午後【マングローブ原生林カヌー】: 朝からの不安定な天候に心配していましたが嬉しい事に決行しますとの言葉を受け、兎に角腹ごしらえとなる。
カヌーを漕ぐにも転覆して這い上がるにも体力勝負となる。期待通り鶏と書かれた看板のお店に案内して頂く。昨日の昼食、夕食に続き3度目の鶏飯がドンと前に置かれた。鶏飯も3度目ともなればお作法は心得ている。干乾びる寸前の鶏のフレークとチラシ寿司に似た具材を丼茶碗に盛った白米にガバッと乗せてドバドバと出汁を注ぎガサガサと胃袋へ注ぎ込む。かつて農民は雑穀を食べながらお代官様へのおもてなしとした歴史を語る郷土料理でした。
12:30 アイランドサービス着。心待ちにしていたカヌー体験の前にサンダル・ライフジャケットを身に着ける。パドルを握り地面に突き立て仁王立ちになるといざカヌーへの気持ちが逸ります。ガイドがまずはパドルをどのように操るか、転覆したら冷たい事などを説明してくださる。
13:30 二人用カヌーが3組、他は一人用カヌーを選び押し出してもらう。
二人乗りは息を合わせるのが難しいとガイドの説明にたがわず3組の艇を見ていると可笑しすぎて笑いを堪えることが出来ませんでした。かたや一人乗りのほうも広い川に団子状態で追突・接触を繰り返して居る。その内にコツを掴みガイドについて役勝川、住世川から美しくカーブを切りマングローブが川幅を狭める密林を遡る。
14:15マングローブの中でカヌーを止めて小休止の合図、ガイドによる説明では「マングローブは様々種類があります。ここはオヒルギとメヒルギです。」「干潮になるとマングローブの後ろの山からイノシシがノコギリバサミという蟹を食べに川に降りてきます」と。案の定誰かが美味しいのですか?と投げかける「保護区ですから食べることはできません。でも美味しいです。」と明快な返事。そして皆さんははじめてですか?お上手ですね!の言葉が聞こえたが年の割にという意味かなとも疑ってみる。
溺れ泣き叫ぶ者はなく全員無事上陸。
15:15 道の駅に到着。昨夜配られた1人3,000円のクーポン券は本日が期限なので買い物に走る。皆の頭の中でそろばんと電卓がフル回転する。如何にピッタリの金額で使い切るか脳トレタイムと化す。
16:40 役場(宇検村)到着。役場でハブを見せてくださるということらしい。一同若い職員を先頭に役場敷地の隅へ、これですと指さされた小屋の中にはハブが6匹~8匹獣舎で囚われの身となっている。無念なのか観念しているのか表情からは図れない。
想像以上の迫力に驚くと彼は説明を続けて「ここにいるのは特別に大きいもので観光客に見せびらかしています。これらは役場が飼育しているわけではありませんからエサは与えません。水だけですがいつまでも生き続けます。」
なおも説明があり「そこらへんにいますよ。捕まえた人は一匹3,000円で役場が買い取ります但し生きているものだけです。人口1,600人の村に年間2,000匹が持ち込まれます。ハブをぶら下げながらの来庁者の為、戸外にハブの呼び鈴を置いています・・・。親切かつ穏やかな口調でハブを語る彼。島民のハブとのたくましい共存の精神に頭が下がりました。 そして今夜こそ鶏飯が食卓に現れないことを全員心一つにして宿へむかいました。
追伸:宇検村の今晩の宿「やけうちの宿」の夕食で恐れていた4度目の鶏飯が堂々と登場しました。 12月17日 3日目 午前: 日の出が遅く、7時やっと少し明るく成る。昨夜の雨は5時過ぎには止んでおり、9:00から湯湾岳登山予定。
朝食後、急に風はビュービュー横殴りの雨。リーダーから登山中止の連絡。平均年齢『75才?』の高齢者は残念の声、本音はホットした方、多数。
宿泊した“やけうちの宿”は空港から2時間余り、1,600人の村民の住む宇検村にある。2016年のリオオリンピックでメダリストとなった卓球の福原愛さんやバレーボール選手の事前合宿に利用され、サインやラケット、バレーボールが展示されていた。
小雨になり、10時過ぎに、南西諸島を防衛するための弾薬補給庫として昭和7年に構築された陸軍弾薬庫跡を訪ねた。幅5m、高さ5m、奥行20mの2重壁が2煉山の中にあり、地元住民は終戦までこの壕の存在は知らされていなかったそうです。
奄美大島古仁屋港のスケッチ
12月17日 3日目 午後: 古仁屋港で各自昼食を済ませ12時に出発、15分程で411mの高知山展望台に着いた。天気が良ければ大島海峡と加計呂麻島を一望できる絶景のポイントと言う事だが、あいにく朝からの雨、遠くは霞んで見えなかったが展望台には蘇鉄やトックリヤシ等南国の木々の緑が美しかった。
高知山展望台を後にして勝山、網野などの長いトンネルを幾つも抜けて、奄美大島世界遺産センターに着く、入口の黒い看板に白い木がデザインされカエルや鳥等が描かれている建物自体ガラス張りの洒落た新しい建物だった。このセンターは奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島の世界自然遺産登録を受けて2022年7月に開館されたと言う。道理で新しい建物だと納得した。中には奄美大島の森が出現、周りの壁面には大型スクリーンに映し出されたメヘゴやタコノキ、羊菌など美しく鳥や蝶なども映り「ウオー」という感じ。 奄美大島などの自然の中に住む天然記念物の絶滅危惧種の動植物、黒兎、蝙蝠類、ネズミ類、鳥類の瑠璃カケスやキツツキ類、鳩目科類など多くの動植物が其の住処や生息場所などと共に紹介されていてデジタル板の操作で大写しにしたり詳しく知ることが出来た。ぐるりと展示物を一巡すると森の中を歩いている感覚、知らず知らずのうちに多くの事を学んでいた。センター内にはミュージアムショップも併設されていて、何人かはキャップを購入されていた。私達は奄美大島フィールド探索型のミュージアムを後にマングローブ展望台に向かった。 展望台から眼下を見下ろすと緑濃いマングローブの原生林が一面に広がりマングローブの間を流れる汽水域(淡水と海水が交わる)の流れにカヌーをしている人達が見えた。私は昨日の自分のしんどかったカヌーを思い出していた。奄美は島全体が常緑樹林帯で緑濃い島だと実感した。
その後スーパーマーケットに寄り各々が買い物券の消化に一生懸命であった。そして奄美パークに向かった。
此処は奄美群島全体の観光拠点の施設で、黒潮の流れの中で育まれ奄美の自然、歴史、文化、産業を紹介している。また奄美を描いた画家田中一村の作品が展示されている美術館も併設されていた。見学時間が30分あったので、イベント広場で奄美の踊りの練習風景を見て、アイランドインフォメーションの世界遺産登録を目指した群島概要が紹介されていたのを見る。遊びの庭で茅葺の家の縁側で陶器のおじいの人形と写真を撮って遊んだ。田中一村の絵を見に行かれた方もおられ,大変満足そうだった。
奄美パークを後に今夜宿泊の「翔」に到着した。そしてロッジの部屋に分散した。夜は翔の食事を楽しみ古仁屋港で仕入れた造りの数々をお腹いっぱい食べ、明日の最終日のパッキングをして深い眠りについた。
12月18日 4日目: 昨日からの強風が窓をゆらし、なかなか熟睡できないまま朝を迎えた。
白むのを待ち宿の前の土盛海岸を散策する。白い砂浜、引き潮で現れている珊瑚礁、その先の白い波立つ太平洋に見いっておりました。浜には1つ椰子の実が打ち上げられつい、名も知らぬ遠き島より~と島崎藤村、椰子の実の歌を口ずさんでいました。帰る途中に放置されたパパイヤの木があり2,3個持ち帰りました。
7時半に朝定食をいただきました。飛行場に行くまで2時間ほど時間があるので奄美大島最北端の笠利崎に向かいました。島北端に近づくにつれ風が吹き海も大荒れ、灯台の下で駐車したのち、急な階段を登るが登につれますます風が吹いてくる。登るときと想像を絶する強風。大きい人を盾に2m進むのが限度。戻りは四つん這いになり姿勢を低くしてやっと階段までたどり着く。山登りのベテランさんによると38mほどの強風。人生初体験でした。
10時半、宿に戻って荷物をまとめ空港へ。
奄美大島例会は天候にはあまり恵まれなかったが、奄美の自然、マングローブカヌー、郷土食と満喫した例会でした。17名の皆様それぞれ良い思い出を持ち帰ることができたと思います。
人とハブ:奄美大島では、市街地を離れれば人はハブと隣り合わせで生活をしています。草に覆われた道端や畑や田んぼの入口にはハブの出没に備えて竹の棒が普通に刺されています。そして夜行性の為、夜は道の中央を歩くように習慣づけられているそうです。昔から猛毒のハブが居るからむやみに山に入らなかった事で、奄美の山は原形の姿が守られ、世界自然遺産に登録されたと思います。
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