籾糠山 1,744m:2022年7月7日〜8日,参加者 6 名 |
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7月7日 1日目: 当初予定の北岳例会が台風などの天候悪化により籾糠山に急遽変更となった。北岳肩の小屋に宿泊予約をしていたが台風が近づき、悪天が予想される為、キャンセル料が掛からない7月3日に中止決定する。
しかし週が明けると台風予想が変わり天気が回復しそうで、参加者から6月25日からの雨天で中止になった籾糠山に行かないかと連絡が入る。そして急遽、籾糠山例会が復活する。7月7日京都組と岐阜組が東海北陸道ひるがの高原SAで12時に待ち合わせる。SAで昼食を摂り、高山のスーパーで今晩の食材を購入する。
15時前に今晩の宿泊場所のひだ流葉オートキャンプ場のコテージに到着。
荷物を置き近くの流葉温泉「ニュートリノ」で汗を流す。コテージに戻りビールで喉を潤すがそこで問題が発覚。どうも今晩のアルコールの量が足りないのではないかと心配する声が。そこで試案の末、唯一飲酒していない女性の運転で往復1時間かけて町へ買いに行くことになる。
その間に今晩の夕餉の支度に掛かる。今晩のメニューは山を越えた富山から直送の新鮮な刺身と鯛と地鶏の寄せ鍋。アルコールも充分に調達され6時前から高原の涼しい風が時折室内に入るコテージで夕餉が始まる。美味しい刺し身と寄せ鍋でアルコールも進み、宴は長々と続き10時にお開きとなる。
7月8日 2日目: 昨夜は不足したビールを約10キロ離れたゲンキーというドラッグストアで買い足し、十分飲んだのか、皆さん快眠?で、5時頃に起床。昨夜の美味しかった鍋の鯛だし汁で煮たうどん、いつものようにパンなどの朝食を済ませ、6時半に籾糠山に向けて出発します。
約50分で、出発点の天生(あもう)峠の駐車場に着く予定です。山道に入ると狭く細い道を七曲りならず、七十曲りして駐車場に到着しました。
トイレを済ませて、8時少し前に山に向かいました。標高1,300メートルです。登山口で、一人500円の協力金を払い、天生湿原経由で籾糠山1,744メートルの山頂を目指します。この協力金で、トイレをきれいに改修したと管理の人が自慢していました。籾糠山という名は飛騨の匠伝説で、「麓の月ヶ瀬の里に住む娘が、川面に映った月を掬って飲むと身ごもって男の子生まれ、この子が作った人形が田畑を耕し、この田畑で実った稲の籾糠の籾殻が積もったのが籾糠山、田んぼの跡が天生湿原となり、のちに男の子は日本一の匠となった」というものです。この名の由来通り、歩き出すと籾殻の上かと思うような柔らかい弾力のある快適な道です。
緩やかな上りを歩き始めるとすぐに炊飯器の再利用と思われるクマよけの銅鑼がありました。これをたたいて出発です。天生湿原という高層湿原まで湿原探勝路を歩きます。歩道は程よく整備されとても快適です。小動物除けの柵を入っていきます。ミズナラの自然林で、大きなミズナラがここかしこに見られます。約40分で天生湿原に到着です。
奇跡のように残された高層湿原で、豊かな高山植物群、ブナ原生林が広がる岐阜県立自然公園です。雪解け直後の水芭蕉からニリンソウ、サンカヨウ、ニッコウキスゲ、コバイケイソウと9月中頃までいろいろと楽しめるそうです。今はニッコウキスゲが満開でした。予定通りの二週間前なら咲いていなかったとのことです。あるいは水芭蕉が最盛期だったかもしれませんが。 この湿原のニッコウキスゲに目を取られていると、反対側に咲くササユリを見逃してしまいます。天生湿原は一方通行で回ります。半分あたりのカラ谷分岐で、この湿原から離れて、籾糠山を目指します。その分岐の直前まで行くと、ニッコウキスゲの黄色とワタスゲの優しい白が重なり、これだけで来たかいがあったとみんな声を上げています。
その天生湿原から籾糠山を目指すルートは三本の道があり、ブナ探勝路、カラ谷登山路、木平探勝路です。行きは真ん中のカラ谷登山路を通り、帰りは木平探勝路を通る予定です。
カラ谷分岐からまっすぐ登山道を行こうとしました。そこで、この湿原のパトロールをしているおじいさん(我々も相当な年ですが。ちなみに筆者は先日6月30日に無事70歳、古希を迎えました。)に出会い、ショウキ(鐘馗)ラン、サイハイ(采配)ランが生えているのを教えてもらいました。この時期は、もうその場所しか多分生えていない、奥は枯れてしまっているとのことで、可憐な姿を楽しみました。そのショウキランの向こうには大きく根を持ち上げた巨大な桂の木がそびえています。するとそのパトロール隊の男性が帰り道を木平探勝路にとるなら、通過してしまうからと言って、ブナ探勝路にあるこの森最大というブナの巨木に案内してくれました。感謝、感謝です。 さて、登山路に戻り、上り、少し下りと進んで行きます。次の分岐までのちょうど半分の所にカツラ門という場所があり、休憩場所になっています。5-6本の巨大な桂の木が立ち並んで、圧倒的迫力です。少し休んで、また歩き始めます。結構頑張って上りますが、比較的歩きやすい階段状に整備されています。土が流れださないようにすべての上り道が間伐材を利用して階段にしてあります。後で聞いたのですが、このための木を地元の高校生が山に運んでくれているとのことで、感激しました。ロープや鎖場はなく、腕も全く使いません。
カラ谷分岐から約1時間で、木平分岐に着きました。また、少し息を整え、籾糠分岐までの急な上りを歩きます。登山路はほとんど日陰で、先ほどの湿原ほどではないものの、吹く風も心地よく、とても涼しく快適です。7月とは思えない快適さで巨木の中を歩いていきます。ここが関西にあったら、すぐに荒れてしまうな、と話しながら籾糠分岐を超えます。
しばらくは緩やかな上りが続きますが、あと500メートルの表示があるのに120メートル上る急な坂を少し息を切らせながら懸命に頑張り、10時37分に山頂1744メートルに着きました。
残念ながら北アルプスは展望できませんでした。これが少し心残りです。山頂は狭く、先客がコッフェルで湯を沸かしておられ、食事の準備のようです。狭いうえに、山頂は直射日光で暑く、少し戻って食事にしようということになり、下り始めました。
20分ほど歩き、日陰の涼しいところで、お昼にしました。ゆっくりと食事、休憩です。この休憩所は森から出た大きな切り株を利用した椅子やテーブルが置かれています。大事に使わせていただきました。
さて、本格的に下山開始です。籾糠分岐に戻り、今度は木平探勝路を通ります。ダケカンバ、ブナの原生林を見ながら、下りに入ります。木平分岐を超えて、しばらくすると、急な上りになり、高度差100メートルほど登ります。峠を超えて、また急な下りですが、分岐から20分ほどで木平湿原に着きました。小さな湿原で、少し乾燥気味でしたが、いたるところにモウセンゴケが群生していて、そのほんのりとした赤みがきれいです。 また山道を下っていきます。大きなブナ、ダケカンバ、ミズナラを堪能し、天生湿原に戻ってきました。一方通行で時計回りに回るのですが、半数が、来た道を戻ろうとします。天生湿原ではよいですが、高速道路の逆走には御注意を。
ゆっくりニッコウキスゲなど以外の多くの花や植物も鑑賞し、14時30分に熊にも合わず登山口に戻ってきました。下山途中の驚きは安部元総理が倒れたと聞いたことです。熱中症だろうと言っていたのが、撃たれたと聞き驚きました。とんだ最後のおまけでした。
パトロール隊の方々のお人柄、山道の丁寧な整備に優しさが感じられるとても良い山でした。ナナカマドのきれいな秋にも来たいとの声が聞かれました。 |