梅雨の芦生縄文杉を訪れる:2020年6月21日,参加者 12名+3名 |
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梅雨の縄文杉ということで、雨中の山歩きを覚悟していましたが、なんと金曜日まで降っていた雨も上がりました。新型コロナウイルスも日本では一段落との判断か、府県をまたいでの移動も許可されました。コロナのため外出を控えて、フラストレーションがたまっていたのか、なんと15名の参加で、「梅雨の芦生縄文杉を訪れる」が開催されました。
8時ころに京都駅に集合、岐阜県から参加した私たちと08:30に京都産業大学前で合流。佐々里峠前での用足し場所で、乙訓からの参加者も合流、09:40に佐々里峠の登山口につきました。
準備を済ませて、リーダーの説明を受け、09:45に出発です。
皆様ご存じの通り、最初の5分は急な上りです。いきなり梯子を上ります。一昨日まで降り続いていた雨のおかげで、足元は心地よい柔らかさです。ズボンの裾も濡れることなく歩けます。やはり、芦生の森は、都会というか京都や私たちが住んでいる岐阜県の多治見より季節の進みが遅く、目に青葉、まさにきれいな新緑の季節です。木々の間を抜けてくる風が心地よいです。暑くもなく、涼しいくらいで、最高の気分です。15名でちょっと密ですが、まあ、山の中、フィトンチッドもあふれているので許します。それでも少し登りが続くと汗ばんできますが、汗かきの私でも汗が滴ることはありません。上りきったところで、25分くらいで、一休みです。樹皮が大きく剥がされている杉があります。「熊はぎ」と呼ぶ熊のいたずらです。いたずらというか、熊が樹皮を剥ぎ、形成層を歯で削り取って採食した後です。樹皮の被っている部分はつるつるです。むき出しの所は歯と爪でギザギザになっています。少し遠くの木は6-7メートルくらいの高さから樹皮がはがされています。
すでにこのあたりから巨木といってよい木が見られ、杉に何種類もの木が寄生しています。大杉は北山杉や木曽ヒノキのようなスラーっと高い針葉樹ではなく、巨大な根本から杉や他の木が何本も生えている樹形です。一昨年の台風の傷跡がひどく、倒木が目立ち、巨大杉や縄文杉は大丈夫かと少し心配になります。途中、多治見では咲き終わった野生の「やまぼうし」がきれいな花を咲かせていました。
しばらく行くと、カミナリ杉があります。カミナリに打たれ、中が空洞になった大杉です。昔、冬に美山の「いぐりじいさま」が冬山から帰れなくなった時にこの「うろ」で暖をとって助かったとのことで、地元では「いぐりの大杉」と呼ばれているそうです。みんなこの空洞から青空を見て満足、出発です。上り下りを繰り返し進んで行きます。
次の大杉は「雨宿りの杉」です。リーダーたちが調査に入ったときは、倒れた木の下の空間に4畳半くらいのスペースがあり、雨の時に鹿などが雨宿りしていたらしいです。それで、雨宿りの木と呼んでいます。今は倒木が朽ちて、雨宿りはできません。 私たちは雨宿りの必要のない好天の中、歩を進めます。
次に見えてくる巨大杉は三本杉です。進行方向にきちんと等間隔で並んでいるのが見えます。根本が三カ所で、生えている大杉は6-7本あります。この杉の間を通って進みます。好天に足も快調ですが、皆さん口も快調です。新型コロナでたまったうっぷんを晴らすように楽しそうな話し声が芦生の森に響きます。
少し歩くと、崖の下に次の巨大杉が見えます。これには名前がありません。「無名の大杉」と勝手に呼びます。ここで、今回の最初の集合写真です。杉を入れるので、参加者の顔は小さく、多分目鼻は写らないくらいではないかと思っています。顔には自信のある我々には残念ですが。無名の大杉の周りを回ったり、ゆっくり見物後、出発です。 目的の一つ、縄文杉には10分程度で、11:15に到着です。やはりこの森の王様杉です。樹形も素晴らしいです。縄文杉というのは縄文時代から数千年生きているという意味と、皮の肌目が縄紋の様だからという説があるそうです。もちろんこの縄文杉は両方に当てはまっています。この巨大杉を見ながら、少し早めの昼食です。もちろん集合写真を撮り、いろいろな角度から眺めます。縄文杉に触れ(屋久島では、今や縄文杉には触れることはできません)、数千年の命のかけらを頂きました。昔なら、「この力をもらって、明日からも仕事を頑張ろう」でしたが、今は「この力をもらって、・・・・・」(ご自由に)です。本当にどの方向から見てもよい木です。裏側に大きな倒木があります。これも巨大杉で、相当なものです。古の姿がしのばれます。 次は歩いて一分の蒐場(ぬたば)の杉です。猪などが体についたダニなどを落とすための水場の前の杉です。胴回りはこの杉が最も大きいかもしれません。もちろん、この杉の前に蒐場がありました。すぐ前の木には泥が付いていて、獣が体をこすりつけたようです。毛は見られませんでした。
少し歩くと京都新聞の木です。これは私が勝手に名前をつけました。リーダーたちの調査の後、京都新聞に掲載された写真がこの木だったそうです。リーダー曰く、「芦生の縄文杉、巨大杉の中で最も勢いのある木、若い木だ」。芦生の巨大杉の多くは天を衝く高さなのが印象的です。半分朽ちかけた巨大杉ではないのがまた素晴らしい。いつまでも残ってほしいものです。
そして、縄文杉まで一回りして、帰路につきます。このコースはみなさんあまりご存じなく、丁度縄文杉で昼食をとっていたパーティが「今いかれたところにも何かあるのですか?」と尋ねたので、リーダーが丁寧に教えていました。
皆さん、縄文杉など巨大杉のエネルギーに触れ、元気いっぱい帰路につきます。行きに見落とした植物なども楽しみながら、楽しい一日が無事終わりました。
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